賃金・残業代・退職金等の請求労働相談に強い弁護士|労務・労働相談.com|所沢・国分寺
未払い賃金の請求
賃金を会社側の都合だけでカットすることはできません。たとえ、就業規則に賃金カットに関する条項があっても、賃金をカットする合理的な理由と、本人の同意が必要になります。解雇予告手当ももちろん、賃金の一部です。
会社側の都合で一方的に賃金をカットされたら、次の順序で対処しましょう。
① 未払い分を計算し、内容証明郵便にして、会社に請求します。
② それでも支払いがない場合には、労働基準監督署に労働基準法第24条違反として申告を行います。
そこで未払い賃金の確認申請書を提出して、”確認通知書”をもらいます。
会社との交渉メモ、タイムカード、賃金台帳、給与明細、労働協約、労働契約書、就業規則等を持参するのが良いでしょう。
③ 支払督促の申立や少額訴訟の提起をします(自分でするか、弁護士に依頼する)
2年を過ぎると、時効が成立して、未払い賃金の請求はできなくなるので、注意しましょう。
未払い残業代の請求
最近、「サービス残業」という言葉を耳にする機会が増えました。しかし、残業をしたら相当の賃金が与えられなくてはなりませんし、未払いとなっている残業代をもらうのは当然の権利です。
未払い残業代の計算方法はこちら
残業代が未払いとなっている場合には、次の順で対処しましょう。
① 自分にどのくらい未払い残業代が発生しているのかを確認する必要があります。
そのためには自分がいつ、何時間仕事をしたのか明らかにしなければなりません。
これを把握するために最も有効な手段が、普段勤務時に使用しているタイムカードになります。
タイムカードを使用していない会社においては、例えばメールの発信時間やファックスの発送時間、シフト表、業務日誌、業務日報等で時間を確定する必要があります。
② 上記の労働期間記録に基づいて、実際の未払い残業代の額を算出する必要があります。
算出方法の原則については上記の計算とおりですが、計算の基礎となる時間給の算出についても法律の規定があり、労働基準法上「家族手当」「子女教育手当」「住宅手当」など労働の量や内容と無関係な手当等については計算の基礎とされません。
例えば、賃金として20万円が支払われている場合でも5万円が家族手当として支払われている場合には15万円を計算の基礎として時間あたりの賃金を計算することとなります。
ただし、名目上「家族手当」のような形で支給されていても、実質的に賃金として支払われているような場合や会社が残業代の額を抑制するために名目上「家族手当」として支払っている場合などは、残業代の基礎として計算されることになります。
この点については法律的な検討が必要であり専門家の知識が必要となります。
③ 未払い残業代の総額が判明したら、その計算根拠と共に会社に残業代を支払うよう要求します。
これは請求した事実を証拠として後日残すために内容証明郵便等の形で行います。
何も根拠を示すことなく大雑把な計算により請求したとしても会社がその内容を検証することができないため、それなりの根拠を示すことが必要でしょう。
ただし、法律上労働時間の算定は本来会社が行うべきこととされているので、労働時間の正確な把握が出来ないからといって残業代の請求をあきらめるべきではありません。
以上により会社が任意に残業代の支払いすれば問題は解決しますが、会社もさまざまな理由をつけて残業代の支払いを拒むことが多くあります。
そのような場合は、裁判所等の第三者機関を利用して残業代を支払わせるよう働きかける必要があります。
未払い残業代の計算方法はこちら
未払い退職金の請求
最近は不況による企業の業績悪化から、払うべき退職金を支払わなかったり、退職金の金額を一方的に下げるケースが、残業代の未払いと同様に増えているようです。
退職金は、法律で支給を義務付けられているわけではないという点で通常の賃金と違いますが、社内規定で、退職金に関する規定が設けられている場合、会社側は、その規定に従って「賃金」として退職金を支払う義務を負います。このため、事前に退職金の規定を確かめておくことが大切です。
退職金の未払いや、退職金の減額がなされた場合には、次の順で対処しましょう。
《退職金が未払いな場合》
① まず、退職金がいくらになるのかを計算しましょう。これは、就業規則や退職金規定によって計算します。
すでに退職してしまって、就業規則や退職金規定の閲覧を使用者に拒否された場合は、同僚に頼んで入手してもらったり、同じ会社を退職した人に尋ねるなどして、おおよその金額を算定してください。
② 退職金の額を算定できたら、未払い賃金の場合と同じ方法で対処してください。
《退職金を減額された場合》
① まず、口頭で減額の理由を聞きます。
② 上記①の結果、納得がいかなければ、未払い賃金の場合と同じ方法で対処してください。すぐに不同意の意思表示をしなければ追認したとみなされますので、注意してください。
退職金未払いも、残業代未払いと同じくらい問題になっています。自分の会社の規定ではどうなっているのか、前もって確認しておくことが重要です。
※退職金の不払いの時効は、退職してから5年です。