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「保全処分」とは

「保全」とは、通常の訴訟手続きによる権利の実現を保全するために、厳密な立証によらず、迅速に、裁判所が一定の仮の措置を講じる手続きのことをいいます。
保全手続きには、①仮処分と②仮差押えの2つの手続きがあります。

《仮処分》
労働事件における仮処分は、仮の地位を定める仮処分として申し立てられるものであり、争いがある権利関係において、債権者に生じる著しい損害または急迫の危険を避けるために、暫定的な法律上の地位を定める手続きをいいます。(民事保全法23条2項)
典型的には、解雇された労働者が、解雇が無効であるとして、①雇用契約上の地位を有することを仮に定める旨の地位保全仮処分や、②賃金の仮払いを命じる仮処分を申し立てるものがあります。
仮の地位を定める仮処分命令は原則として、債務者が立ち会うことのできる審尋期日を経ることが必要とされています(民事保全法23条4項)。

《仮差押え》
仮差押えは、金銭債権の支払いを保全するために、債務者の財産の処分を禁止するなどして、将来の強制執行を確保する手続きをいいます。
労働事件においては、未払い賃金(解雇無効を前提にする場合を含む)や損害賠償請求権等を被保全債権として、労働者側から仮差押命令の申立がなされることになります。
仮差押えは、債権者(多くの場合労働者側)が「強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるとき」に認められます(保全の必要性、民事保全法20条1項)。債務者(多くの場合は企業側)は発令に至るまでの過程においては審理に参加できず、仮差押命令が送達されて初めて仮差押命令の申立がなされていたことを知ることになります。


【労働者側】保全の申立て手続き

保全の手続きは、基本的に以下の流れで進められることとなります。

1.申立書の作成、申立て

申立書を作成し、地方裁判所に提出します。申立てでは、主に以下のことを訴えます。
1.被保全権利(守ってもらいたい権利)
解雇が無効であると考える具体的理由など。
2.保全の必要性
緊急事態であり、裁判をおこして判決を待っているのでは間に合わず、早急な救済措置必要であることなど。
3.証拠書類
見聞きしたことを詳しく書いた「陳述書」も作成して提出する。

2.裁判所による審尋

裁判所が会社と労働者の双方から事情を聞くことになります。通常は、答弁書(書面)でのやりとりによって双方の意見を主張することとなります。お互いに相手の主張に反論しながらあわせて証拠書類として陳述書を出していきます。
何回か審尋をして双方の主張がそろうと、裁判所から和解のすすめがあることもあります。

3.保全処分の決定

審尋で和解の折り合いがつけば、和解文書を交わして解決となりますが、和解で解決できそうもない場合は、裁判所は通常訴訟の判決にあたる決定を出します。


【経営者側】保全を申し立てられたら

従業員側から保全の申立てがあった場合には、まずは相手方の主張の間違いや、会社・経営者側の処置の正当性を主張立証します。

例えば、従業員から「解雇は無効」であり、「従業員たる地位の保全をする」と主張された場合には、会社の行った解雇の有効性を主張立証する必要があります。すなわち、会社側の処置には合理的な理由があり、それが相当な処分であったことを、具体的事実を整理した上で、証拠と共に裁判所へ提出しなければなりません。

そして、裁判官に対して会社経営者側に有利な心証を形成させ、有利な裁判(却下)又は企業側に有利な条件での和解へと繋げる必要があります。

ただし、通常業務の中で裁判に触れることはないでしょうから、独自で効果的な主張立証を行うのは難しいと思われます。できるだけ速やかに、労働問題に強い弁護士に相談なされることをお勧めします。

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