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「労働訴訟(労働裁判)」とは

裁判所を利用して未払い賃金・残業代などを請求したり、不当解雇を主張したりする方法の1つに「労働訴訟」が考えられます。ただし、労働訴訟という特別の訴訟制度があるわけではなく、あくまでも、通常の訴訟と同じであり、ただ「労働問題の訴訟」というほどの意味です。
(もっとも、東京地方裁判所などの大規模庁では、労働訴訟を専門的に扱う部署が設けられています。)

訴訟とは、非常に簡単に言いますと、訴える側と訴えられる側が、争いとなっている事柄について証拠を提出し、その事実がある(又は無い)ことを立証するし、その主張・立証をもとに、裁判所がその事実があるかどうかを判断し、事実を法律に当てはめて判決という終局的な判断を下す、という手続きです。

未払い残業代請求の労働訴訟を例にすると、労働者側が、何時間残業したという事実を主張し、争いがあればタイムカードなどの証拠を提出して主張した残業時間働いたことを立証し、それをもとに、裁判所が「どれだけ残業していたのか」を判断し、残業代を支払わせるべきかどうかという判決を下します。

判決が確定すると、その判決は強制力を持つことになります。要するに、その確定判決があれば、たとえ相手方が任意に支払わなかったとしても、いつでも相手方の財産に対して強制執行をすることができるようになります。この強制執行ができる権利を「債務名義」と呼ばれます。

なお、訴訟の進行中においても、話し合いで問題が解決することもあります。これを「和解」といいます。


【労働者側】労働訴訟の手続き

労働審判の手続きは、基本的に以下の流れで進められることとなります。

【1.労働訴訟の提起】

基本的には、相手方の本店または営業所の所在地を管轄する裁判所に訴状を提出することで訴訟を提起します。請求金額が140万円以下の場合には簡易裁判所に、140万円を超える場合には地方裁判所に訴訟を提起することになります。

訴状には
①当事者及び法定代理人
②請求の趣旨(原告が被告(相手側)に何を請求するのか、その請求内容だけを、「被告は、原告に対し○○せよ。」という表現で簡潔に書く項目です。)
③請求の原因(何故原告は被告に対してそのような請求ができるのか、その理由を、裁判所(裁判官)を説得できるように書く項目です。裁判所は、この「請求の原因」として主張された理由が、「請求の趣旨」で書かれた請求を認めるだけの理由があるかどうかを判断することになります。)
を必ず記載し、証拠と合わせて提出します。

【2.期日指定・呼び出し】

労働訴訟の提起がなされたら、裁判所は原告が提出した資料(申立書・書証・証拠説明書等)を被告に郵送し、第1回期日を調整します。

【3.答弁書の提出 】

相手方は定められた期限までに答弁書・書証・証拠説明書を提出しなければなりません。

【4.各期日 】

労働訴訟においては、当事者や関係人から事情を聴取したり、証拠書類を調べるなどして、原告被告双方の主張について検討し、紛争に至った経緯や状況を把握し、紛争の争点を整理します。
労働訴訟は、労働審判と異なり、「原則期日が何回まで」とは決まっておりません。そのため、訴訟進行中の和解がない場合には、裁判所の呼び出しに応じて話し合いや主張・立証を続け、判決が出るまで根気よく戦っていく必要があります。

【5.判決 】

各期日において、争点となっている事項について十分な議論や主張立証がなされると、裁判所が判決を下します。
労働訴訟ですと、判決が出るまでに1年程度かかることは当たり前にあります。現在では民事訴訟の迅速化がすすめられていますが(かつては10年以上かかる事案もあったそうです)、場合によっては、やはり2年以上かかるということも考えておく必要があります。

「第一審の判決が被告に送達されてから2週間を経過しても不服申し立てがなかった場合」「②第二審の判決が被控訴人に送達されてから2週間を経過しても不服申し立てがなかった場合」「③上告審の判決が言い渡された場合」に判決が確定します。確定した判決は債務名義(強制執行等をするための証明)となります。


【経営者側】労働訴訟を提起されたら

従業員・労働者側から労働訴訟をおこされたら、原告(労働者)と被告(企業)との間において、主張が相互になされ、それに伴い必要な書証の調べがなされ、その後証人尋問がなされます。
それと並行するか、証人尋問の後辺りに和解の話し合いが裁判所を介してなされるのが一般的です。

会社側の対応としては、勝てる十分な見込みがあるなら判決を求めるのが良いと思われますが、それ以外の場合には、和解に応じるか、それでも判決を求めて争うかのいずれかになります。
和解に応じるにしても、会社の信用が失墜しないような和解を工夫する必要があります。

なお、判決で会社側が敗訴すると、たとえ会社経営者側が控訴しても、被控訴人(元従業員)は強気になり、1審より会社に有利な和解をするのは難しくなりがちですから、勝訴の確信がない限り、判決を求めるか否かについて慎重な判断が求められます。

労働訴訟においては、下記のようなポイントが争点になりがちです。

《懲戒解雇の場合》
懲戒処分が有効となるには
①就業規則に懲戒処分の規定が存在すること
②懲戒事由に該当すること
③懲戒処分が社会通念上相当
であることが必要です。これらが主として争われます。

《普通解雇の場合》
使用者は労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をするか、30日分以上の平均賃金の支払いをしなければなりません。これがなされているかが争点となる場合があります。また、当該解雇は社会通念上相当でなければなりませんので、それが争点となります。

《整理解雇の場合》
整理解雇が有効となるには、①人員削減の必要性②整理解雇を選択することの必要性③被解雇者選択の妥当性④手続きの妥当性(従業員への十分な説明がなされたかなど)が検討要素となります。

また、上記まで別の視点として、相手方が在職者の場合、今後の労使関係が継続することを考えると、単に当該トラブルのみを解決するという視点だけでは対応できないと考えるべきでしょう。
個別労働紛争は企業内での自主解決が本来の姿であり、企業としては、まずこれに努力すべきであるといえます。

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